本来、心臓から拍出された血液は、動脈を通り各臓器へ供給され、静脈を通り肺を通過して再び心臓から拍出されるものです。
この最後の通り道と言える静脈では、心臓からの圧力に頼ることが出来ず、自動的に心臓へ血液が帰れないため、血液の逆流を防ぐために弁がついております。
下肢の比較的に太い静脈の弁が悪くなり、本来心臓に帰っていくはずの血液を足の静脈に溜めてしまいます。
下肢静脈瘤の治療は、従来はストリッピングなどといった切開を中心とした、血管を直接引き抜くものが主な治療でした。現在は、保険適用となったカテーテルを用いた血管内治療が行われています。
これは逆流を起こしてしまった静脈にカテーテルを挿入し、血管内部より静脈を焼いて閉塞させる治療です。逆流を止めることで、下肢静脈瘤のだるさや浮腫、見た目のコブの治療を目的とします。
カテーテル治療においては血栓症が主なリスクとしてありますので、術前後の超音波検査にて血栓の有無や血流、血管の状態の評価が大事になります。
下肢静脈瘤の特徴として、午後から夕方にかけて症状が出てきます。まずは重症化する前に体が発する違和感を見落とさないことが大切です。
症状や進行具合には個人差がありますが、下肢静脈瘤が自然に治ることはありません。症状は徐々に悪化していきますので、違和感を感じたら、早めに専門クリニックで検査をして、医師に相談されることをお勧めします。
下肢静脈瘤を放っておくとジワジワと進行し、合併症を引き起こしてしまいます。
足に血液が長時間たまり、
慢性的な皮膚炎を招きます。
重症度1
コブの部分が急に赤く腫れて、熱を持って痛みが出現します。コブの中で鬱滞していた血液が固まり血栓となり、炎症を起こした状態です。圧迫療法を施すことで、1~2ヶ月ほどで症状は治まることもありますが、静脈瘤の治療を行わないと炎症を繰り返してしまうことが多いといわれています。
重症度2
静脈に血液がたまると血管壁に圧力がかかり、血管の壁に無数にある細かい穴から血液がにじみ出るようになります。血液に含まれる鉄分がサビのように酸化して色素沈着を起こし、皮膚が褐色に変化し始めます。皮膚もザラザラした状態になりしっしんもできやすく、かゆみを感じることも多くあります。
重症度3
老廃物を含んだ血液がたまると皮膚の血液循環も悪くなり、皮膚の角質細胞がダメージを受け、皮膚を守るバリア機能も壊されます。そのためかゆみを感じやすくなり、かさついた皮膚は炎症を起こしやすくなります。重症化すると皮膚の色は真っ黒になり、皮膚も繊維化してカチカチに硬くなります。
重症度4
色素沈着を起こすほどのうっ滞性皮膚炎が重症化したり、足が浮腫んだ状態が長い間続くと、小さな傷の回復が遅くなり慢性化しやすく、なかなか痂皮化せずにひどい火傷をしたときのようにただれた状態になります。主に足首の内側の皮膚がえぐれて赤黒い潰瘍になります。下肢静脈瘤のもっとも重い合併症なので、できるだけ早く治療を始めてください。